猫のきおく

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シーン9

今夜は夕食を済ませて、子供たちはそれぞれの部屋にこもってしまった。食卓ではお父さんが独りプレートで肉を焼きながらビールを飲んでいる。お母さんは風呂にでも入っているんだろうか。俺はその光景を少し離れてなんとなく見つめていた。つまらないのでかまいたくなったのか、肉のかけらをこちらに差し出して、ほいっプチと言って珍しく触れ合ってきた。俺はもちろんミャーとお愛想を言いながら足元に駆け寄ってむしゃむしゃと食べた。うまかった。この人は普段俺が何を食べているのか知っているんだろうか。とか思いつつ。うまいかと言いながらもうひとかけくれた。次にくれたのはにんじんのひとかけだった。それもとりあえず食べた。肉の匂いもしたし柔らかいし、まあまあかな。すると次もにんじんだった。我慢して食べて、もうこれ以上はたまらんと思って、その場を離れた。そうか、お前もにんじん食べるんだとか勝手なこと言いながらビールを楽し気に飲んでいた。その時、お母さんが頭からタオルをかぶって部屋に入ってきた。すぐさま、匂いこもるから窓開けてよねといいながら、ベランダ側の窓を開けて、ああいい風が入ってくるわーと夜空の月を見ていた。するとお父さんがその場しのぎかもしれないが、プチがにんじん食べるんだぞっーと・・・なんてこと言うんだ。そんなこと、植え付けたら次の日からの俺のご飯がにんじんになってしまうかもしれないんだぞ。じょうだんじゃぁないよう。俺は肉が好きなんだよぅ・・・。

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   シーン8

海辺に着くとすずりチャンはリュックからポリ袋を取り出して、波がすれすれくるところで砂を掘り、それを浸していた。かけるは先に来ていて、靴を脱いで、波に向かって笑いながら足を蹴り上げていた。すずりチャンもそのまま波打ち際まで歩いて行ったが、俺はとんでもないと踏ん張っていた。だから紐の距離があったのかもな。しばらくして二人は大きなボールを投げあってキャーキャー言いながら遊んでいた。すずりチャンの髪の毛が背中で興味ありげに激しく振れていた。かけるもすずりチャンとおなじような服を着ていて、帽子だけは紺色で横に金に光る角みたいなものを付けている。こういうのを見ると遠目には確かに二人は仲の良い姉弟に見えるんだろうな。確かに二人がこうしているのを見るのは俺も初めてだ。少し離れたところでは、人がいっぱい居て、色んな傘が立っていて、音楽も鳴っていて、騒がしくしている。紐はもう外されていたが、俺は二人の近くで落ちているものの匂いを調べたり、砂をかいて掘ったりしていた。もう飽きたみたいで、さっきの波に浸っていた袋を取り出して、二人座って、それの中のものを食べだした。ああご飯だったんだ。すずりチャンは俺にも肉を差し出してくれた。並んで三人して食べました。帰りも同じようにして帰ったんだけど、近くの坂道に来ると、網袋から解放された。小走りに、ときおり後ろを振り返りながら駆け上がった。すずりチャンも懸命に上がって来る。日差しが当たらない反対側を頑張っているが、すずりチャンの太ももがほんのり赤く光っていた

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   シーン7―2

又、自転車は進む。ゆっくりなので安心した。大きな道を二回ほど渡り、大きな長い橋も渡ったと思う。時々、すずりチャンは自転車を降りて押して歩いた。意外と慎重だったので助かった。着いたのは、大きな樹が何本も並んでいて、その向こうには、すごく白っぽく何にもないようなところが広がって見えた。自転車を置いて、すずりチャンは俺を網のまま抱き上げて、その並んだ樹の間を歩き出した。中はひんやりして涼しい風が通っていた。かけるは先に走って抜けていった。樹の間を抜けると、白い砂がひろがっていた。その先にあるのは・・・これが海というものなのか、初めてだ。とてつもなく、大きくたくさんの水が押し寄せてくるようだ。なんだこれは、エェー、怖気づいてしまった。樹の間を抜けると、俺をおろして袋から出し、背負っていたリュックから紐みたいのを取り出して、俺の首に縛りつけ、反対側をすずりチャンは自分の腰に巻き付けた。そのまま歩き出した、砂と海に向かって。またぁーと思っていたとたんに引っ張られて、俺も砂に足を入れてしまった。なんとなく熱い。すずりチャンとは少し距離があるが、嫌々ながら引きづられるようについて行った。朝とは変わって、時おり陽が陰ってきている。歩くにつれ、色んなものが落ちていて、まあまあ面白くなってきた。ただ、すずりチャンは足首の少し上までバンドみたいなので縛ってある編み目靴を履いていたが、ときどき砂が入るのか、足を振るんだ。そのせいで砂が俺の顔に飛んでくるから・・・。

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シーン7―1

夏の日の朝、お母さんが出かけた後、すずりチャンがキッチンでなんやらガタガタしていた。お弁当を作っていた。出来たのを包んでリュックにつめた。完了 と言ってバタバタ部屋に戻っていった。しばらくして下りてきたら青い短パンに胸に猫の絵がかいたシャツそして頭には前がツバ付きの白い帽子をかぶっていた。眼はそんなに大きくないがクリッとしていて、足がスーっと伸びているせいか、わりとかわいいと思う。そして、手には網目の袋を持っていた。そうだ昨日の夜、いきなり俺を抱え上げあの袋に入れようとした。俺は、びっくりしてすずりチヤンの手を引っ掻いたかもしれない。顔だけ出るようにして、網袋を閉めた。練習、練習とか言っておとなしくしてるんだよって言っていたのを思い出した。やっぱり、今も、俺を抱えて網袋に入れた。そのまま抱きかかえて、プチ 散歩だよっていって玄関を閉めて出た。表の道路に出ると、かけるが自転車に乗って待っていた。すずりチャンの自転車も用意してある。

前のカゴに俺を袋ごと入れて、おとなしくしているんだよと声をかけて、こぎだした。じょうだんじゃぁない、危ないだろう。この娘はやることが割と思い切りが良いというかなんか・・・。うしろからかけるがついてくる。すぐに、下り坂になって、スピードがあがつた。ううーっ、飛び出せない。思うように動けないんだ。まてっ、まって、声もあげれない、危ない、怖いよー・・・。すずりチャンはひゃー〇〇〇いいーって言ったような気がした。あの公園の横を抜けて、大きな道路に出るとようやくゆっくりと進んでくれた。すれ違う人がおどろいたようにこっちを見ている。しばらく行って、お店の前に止まったかとおもうと、すずりチャンが中に向かって声をかけている。中からお母さんが出てきて、俺の頭を少しなでながら、気をつけてねと二人に言っている。でも、俺に向かっては何も声掛けがなかったように思う。気をつけなければいけないのはこっちのほうだよー・・・。もう一人女の人が中から、可愛いわねぇーと手を振っていた。俺かーーーすずりチャンのほうかーーー。

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シーン6

暑い日が続いたけど、すずりチヤンが朝から居ることが多くなった。時たま、深い赤の上下の服で出てゆく。家にいるときは、俺もスズリチャンの部屋で過ごすことが多い。彼女は短パンに袖のないシャツでいつも机に向かっている。いつも勉強している。窓からは生暖かい風が入ってくる。かけるの方はだいたいテレビに向かってガチャガチャやっている。

すずりチャンは髪の毛を後ろでまとめて馬のシッポみたいにまっすぐに長くたらしている。椅子に座っていると背中の方でゆらゆらすることがあり、俺がそれをめがけて飛びついたり遊び始めると、不愉快に思っているのかどちらかわからないが、しばらくはどっちとも楽しんだりする。

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シーン6

暑い日が続いたけど、すずりチヤンが朝から居ることが多くなった。時たま、深い赤の上下の服で出てゆく。家にいるときは、俺もスズリチャンの部屋で過ごすことが多い。彼女は短パンに袖のないシャツでいつも机に向かっている。いつも勉強している。窓からは生暖かい風が入ってくる。かけるの方はだいたいテレビに向かってガチャガチャやっている。

すずりチャンは髪の毛を後ろでまとめて馬のシッポみたいにまっすぐに長くたらしている。椅子に座っていると背中の方でゆらゆらすることがあり、俺がそれをめがけて飛びついたり遊び始めると、不愉快に思っているのかどちらかわからないが、しばらくはどっちとも楽しんだりする。

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シーン6

暑い日が続いたけど、すずりチヤンが朝から居ることが多くなった。時たま、深い赤の上下の服で出てゆく。家にいるときは、俺もすずりチャンの部屋で過ごすことが多い。彼女は短パンに袖のないシャツでいつも机に向かっている。いつも勉強している。窓からは生暖かい風が入ってくる。かけるの方はだいたいテレビに向かってガチャガチャやっている。

すずりチャンは髪の毛を後ろでまとめて馬のシッポみたいにまっすぐに長くたらしている。椅子に座っていると背中の方でゆらゆらすることがあり、俺がそれをめがけて飛びついたり遊び始めると、不愉快に思っているのかどちらかわからないが、しばらくはどっちとも楽しんだりする。